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⑲『大嫌い』は大好きの裏返し。

「君の事だ。たぶんね、そういうことだと思っていたよ。このことは俺から父さんに言うから君は何も心配しなくてもいいよ。俺はね、亜瑠兎が離れていってしまうことが、何よりもずっと苦しいことなんだよ」  ――違う。  俺の方が月夜よりもずっとずっと離れていってほしくないって思ってる。  心が苦しいのは俺の方だ。  月夜が俺を想ってくれているより、俺の方が月夜を想っている。  月夜。  許されるのなら、あなたの側にずっといたい。  もう、ダメだ。  嘘つけない。  思ってもいないことを言えない。 「……本当は……大嫌いなんて嘘だ!! 俺は……俺はっ!!」 「うん、知ってる」  嗚咽混じりで告白すると、月夜のクスリと笑う息が俺の髪を揺らした。 「昨日の晩から君の様子がおかしいのには気づいていたんだ。だいたい、誰よりも恥ずかしがり屋の君が自分から抱いてなんて言うはずがないじゃないか。よほどのことがあったんだろうとは察していたよ。まあ、意識を飛ばしそうになりながらも何度も俺を欲っする君はとても可愛かったけれど……」

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