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⑳『大嫌い』は大好きの裏返し。

「……んなっ!!」  なんで今、そんなことを言うの!?  いまだ止まらない涙を流している俺の胸が震えた。  月夜はひとつ微笑んだ後、触れるだけの優しいキスを額にくれた。 「つきや……っふ……つきや……つきや……」  月夜から与えられるキスで、また泣けてくる。  俺の視界はいっそう歪んでいく……。 「亜瑠兎、父さんとのことは俺にまかせてほしい。きっと悪いようにはしないから、いいね?」  月夜の揺るぎない声は何かを決意しているみたいだった。  だから悲しみに打ちひしがれた俺はもう抗えなくて、自分の気持ちに従った。  コクンと頷けば、月夜は俺を抱き締めてくれる。 「つき、や」  俺、貴方がすごく好き。  月夜への気持ちの深さを思い知れば知るほど、次から次へと涙が零れ落ちる。 「っひ、……ぅう」  その日、大好きな人の腕の中でたくさん泣いた。  月夜のあたたかな体温をその体に感じながら……。  《第17話・俺が王子様のためにできること。・完》

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