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⑤『大嫌い』は大好きの裏返し。
それが本当なら今日の天気は雪だ。
……なんて自分にツッコミを入れる俺。
月夜は俺の態度がいつもと違うことに気づいていないようだ。
「そう。朝の散歩は気持ち好かった? お腹空いたでしょう? 今ご飯の支度をしているからもう少し待っていてね」
そう言うと月夜は顔を引っ込めた。
……どうやら言い訳は上手くいったようだ。
とりあえず、ホッとする。
だけど月夜だってまさか俺が嘉門 さんと会ってきたとは思わないだろう。
でもさ、今さら隠したってどうしようもない。
月夜とはお別れしなきゃいけない。
だけどもう少し……。
あと少しだけでいいから月夜の側にいたい。
月夜と離れたくない。
……相変わらず、俺は往生際 が悪い。
これではいけない。
別れなきゃいけないのに……。
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