271 / 305

①俺だって!!

 ◆第十八話◆  秋。  紅葉の紅葉がいっそう深まる頃。  どこからか金木犀(きんもくせい)の香りが漂ってくる少し肌寒い季節。  だけど、頬に触れる太陽の光は冬とは違ってまだあたたかい。 「………ん」  閉じていた(まぶた)を開ける。  すぐに真っ白な朝の光が差し込んできた。  陽の光が眩しくて目を細める。  そして俺は、俺のすぐ隣で眠っているだろう大好きな人を求めて手を伸ばす。  だけどそこには誰もいなかった。 「あれ?」  俺、ひとり?  俺は掛け布団を被ったまま怠い体を起こして見回せば――……。  だけどやっぱり俺が探している人の姿が見当たらない。 「月夜(つきや)?」  あたたかな陽の光が差し込む中。  ぽつりと愛おしい人の名前を口にしても返事はない。  チュチチチ……。  あるのは小鳥のさえずりばかりだ。 「……つき、や?」

ともだちにシェアしよう!