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⑦ふたたびやって来ました月夜の実家。

 世間体もあるし――。  こんないびつな関係は誰も望まない。  それなのに、早苗さんは俺に笑いかけ、あたたかい言葉を掛けてくれた。  ギュッと握りしめている花音のワンピース。  見るも無惨な皺だらけだ。  帰ったら花音にこっぴどく怒られるだろう。  緊張で喉がカラカラ。  だけど早苗さんは違った。 「ええ、知ってるわ」  深く頷いてみせた。 「だったら!! 俺へのこの対応はあまりにも……」  おかしい。  早苗さんはいったい何を考えているのだろう。  さっぱりわからない。  俺の正体を知っていてもなお、早苗さんがなぜこんなにも親切にしてくれるのかがわからない。  口ごもれば、早苗さんが口を開いた。 「わたしが亜瑠兎ちゃんに笑いかけることがおかしい?」 「はい」  早苗さんの言葉に、俺はコクンと頷いた。  そんな俺に、早苗さんは、「う~ん」と少し考えるようにひとつ唸って、また話しはじめた。

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