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⑧ふたたびやって来ました月夜の実家。

「でも、あなたは月夜が好きな人よ?」 「……え?」  どういうことだ?  早苗さんは何を言っているんだろう?  説明してくれるけれど、ますます意味がわからなくなる。  俺は何度も瞬きを繰り返した。  間抜けな声を出してしまう。 「月夜が大切な人は、わたしにとっても大切な人よ。ねぇ、亜瑠兎ちゃん……。わたしはね、月夜が選んだ人があなたでよかったと思っているの」 「?」  それはどういう意味だ?  首をかしげると、早苗さんは月夜と同じような優しい笑みを浮かべた。 「そういう亜瑠兎ちゃんの可愛らしい仕草も、月夜が好きになったひとつの理由なのかもしれないわね」 「えっ?」 「なんとなく……。なんとなくだけれど、月夜があなたを好きになった理由がわかるわ」  早苗さんはそこまで言うともう一回微笑んで、話を続けた。 「あなたはもう知っているかもしれないけれど、月夜はとても責任感があるの。問題をひとりで抱え込んでしまいがちでね?」

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