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⑨ふたたびやって来ました月夜の実家。

「はい」  うん、月夜はいつもそう。  自分ひとりでなんでも背負ってしまう。  挙げ句の果てには俺のことまで気にかけてくれる。  月夜はいつも背筋をピンと張っていて、息苦しそうで……。  だから俺は、月夜が安らげる空間を作ってあげたかった。  だけど男の俺と一緒になっても月夜は自分を犠牲にしてしまう。  悲しいけれど、月夜のためになるのならと、俺は身を引こうとした――。  結局ムリだったけれど――。  月夜と離れたくない。  これは俺のわがまま。  月夜を困らせてしまうってわかってるのにな……。  本当に月夜のことを想うなら、別れなきゃいけないのにな……。  自分勝手な俺は側にいたいって思ってしまった。  ……へにゃ。  嬉しいのに悲しくて……。  早苗さんと同じように笑ってみせようと思うけれど、やっぱムリ。  胸がズキズキする。  月夜の将来を考えると胸が押し潰されそうに痛む。  ……涙、出そう。

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