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⑩ふたたびやって来ました月夜の実家。

 俺が早苗さんに頷いたのを見ると、彼女はまた微笑み、話を続ける……。 「たとえばさっき、わたしが荷物を持っていた時、あなたはわたしの荷物をためらいもなく持ってくださった」 「あれは……その……鍵、取り出しにくいかな……って……荷物、重いし……」  荷物を持ったのはただの条件反射。  特に何も考えていない。  俺の言葉に、早苗さんはもう一度、今度はゆっくり頷いた。 「ええ、そうね。とても嬉しいわ、ありがとう。亜瑠兎ちゃんは無条件でわたしを助けてくれた。あなたはそれが当たり前だと思っているでしょう? でもね、もし、それが当たり前じゃないとしたら? 親切にする理由が見返りを求めるためだったとしたらどうかしら? わたしたち葉桜が抱えている問題が少しでも面倒だと思ったらすぐにでも逃げて行ってしまうでしょう……」

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