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⑪ふたたびやって来ました月夜の実家。

 早苗さんはそう言うと、目を閉じた。  とても悲しそうだ。  俺はそのまま、口を閉ざした早苗さんの話の続きを待つ。 「…………」  少しの間、沈黙が玄関を包んだ。  そして、早苗さんが伏せていた目をそっと開けると、また話しはじめる。 「亜瑠兎ちゃん、わたしはね、こう思うの。月夜が抱える問題は月夜のものよ。月夜の責任ももちろん、あの子のもの。けれど、人には限界があるわ。きっとこの先、葉桜を継ぐことによってあの子だけでは背負えない問題も出てくると思うのよ……。あの子は誰よりも真面目。自分のことで他人に気を揉ませたくないと思っているのね。いつも自分ひとりで問題を抱え込んでしまう。でも、あなたなら……あなたなら月夜を助けてくれると思えるの。無条件で月夜の隣に寄り添い、歩いてくれる。だから、わたしはあなたたちの恋愛に反対なんてしないのよ。こちらからお礼を言いたいくらいよ。亜瑠兎ちゃん、月夜を見つけていただいて、ありがとう」

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