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⑥あなたと俺の相愛数。
するとまた、隣の部屋から月夜の声が聞こえてきた。
「たしかに、父さんの意見はいつだって正しい。だから俺は今まで父さんの意見に従って歩いてきた。……でも、これだけは譲らない。亜瑠兎は俺のすべてだ。誰にも俺から亜瑠兎を奪わせない!!」
穏やかで揺るぎない、凛とした強い声だ。
『亜瑠兎は俺のすべてだ』
嘉門さんに言った月夜の声が俺の頭の中で何度も何度も繰り返される。
……俺。
知らなかった。
月夜はそこまで俺を想ってくれていたの?
……ああ、どうしよう。
嬉しすぎて死にそう。
涙が溢れてくる。
早苗さんが隣にいるのに……。
泣くなんてカッコ悪いのに……。
白無垢を握っていた手の甲に、俺の涙がポタリと落ちる。
出てくる涙を引っ込めようとしても止まらない。
それどころか、よけいに涙が溢れてくる始末だ。
ぎゅっと唇を引き結んでいなければ、声を漏らして泣いていただろう。
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