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第3話
パァァアアンン――
弾は、ボクに向かってくる。
ヴィアンテが、ボクの名前を呼び、手を伸ばす。
「ロザリア!!」
「ヴィアンテ!」
ボクも、ヴィアンテの名前を呼ぶ。
だけど、弾はボクの左腹部を貫通する。
そして、ボクはその場に倒れた。
ドクドクと血が流れ出るのが判る。
ヴィアンテは、ボクのところに来て「死ぬな!」と叫ぶように言う。
「お前は、俺と生きる道を選択した! ならば、死ぬな!」
「…………」
「俺が助けるから、ロザリア! 死ぬなよ……!!」
「……………………」
少しだけぼやける視界。
その中で、はっきりとヴィアンテが、ボクを見て泣いているのが見えた。
それだけで、ボクは嬉しくなって。
でも、それは何だか変な気がして。
ヴィアンテなら、この気持ちを教えてくれるのかな、なんて。
「ヴィアンテ…………」
最後の力だ、と思って。
ボクは、ヴィアンテを見ながら言う。
「ボク……、キミに…………」
「喋んな! 血が――」
「あげ…………る……。ボク…………の………………」
だから。
生きて、逃げて。
キミといた短い期間、ボクは。
ボクは、愉しかったんだ。
「ヴィ…………アンテ………………」
ボクは、ヴィアンテに手を伸ばす。
「愛しているよ 」
最期に見る、景色が。
キミの驚いた顔で、良かった。
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