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第6話

 自分の身体から、いやらしい音が聞こえる。  それが恥ずかしくて、耳を塞ごうとすると。  ヴィアンテに止められる。 「耳を塞いで良いなんて、俺は許可してないよな」 「っ、ぁ」  ドキドキする。  初めての感覚で。  ボクはどうすれば良いのかわからず、ヴィアンテを見上げるしかなくて。 「そんな蕩けた面で俺を見やがって……。煽りやがって」 「ぁぉる……?」  煽る?  それって、どういう――  ヴィアンテに聞こうとしたけど。  ボクのお尻を、ヴィアンテの大きなちんちんが、突き上げたから。  頭の中が真っ白になり「ぁあああっ、ぅんっ」と高い声を出してしまった。 ✟  気を失ってしまっていたみたいだ。  気づくと、ボクは布団の中にいた。 「起きたか」  ヴィアンテは、タバコを吹かす。 「ロザリア。吸血鬼の吸血行為には、食事と眷属造りの二種類がある話はしたっけ」 「えっと……、どうだろ」 「……まあ、難しい話は面倒くせえから良いや」  ヴィアンテは、タバコを灰皿に置き、背伸びをする。 「とりあえず、今は身体を休めておけ。その後は、そうだな……。お前の行きたいとこに行くか?」 「……ヴィアンテが、優しい」 「あ? 俺は優しいだろ、最初から」 「いや、それは――痛っ」  話そうとしたら、首筋が痛くて、ボクは少し涙が出た。  そんなボクを見て、ヴィアンテは笑う。 「痛がる姿、やっぱりそそるな」 「ぇ?」 「怯えるな。今はしねえよ。俺も体力使ったしな、久しぶりに」 「…………」 「……長いこと、血をまともに吸っていなかったからな」 「え?」  血を、まともに吸っていなかった……?  それは、どういうことだろう。 「ヴィアンテ……?」 「ま、その話は、また後で」  ヴィアンテは、ボクの頭を優しく撫でる。 「焦らなくても、時間はたくさんある」 「……そう、だね」 「ん?」 「いえ、あの、こうして誰かとゆっくりお話ができるの、ヴィアンテが初めてだし……。これから先もヴィアンテだけかな、と思うと、ドキドキして……」  胸の奥が、熱くなる。  何だか、恥ずかしくて。  ヴィアンテを、まともに見れないんだ。 「あ、あの、さ――」  ボクが、言いかけると、ヴィアンテはボクに背を向け、「一旦寝ろ」と言った。  だけど、ボクは気になったから。  ずっと、気になっていたから。  訊こうと、ヴィアンテの背に言う。 「ヴィアンテは、知っているん……ですか? この、ドキドキしたり、熱くなったり、ずっとこの人といたい、て思う。だけど、恥ずかしくて、ずっと一緒にいたら、溶けてしまいそうな……この感覚? を」 「……お前は、何も知らねえから」  はぁ、とヴィアンテは、ため息を吐いた。  そして、ボクの方を見て、それから、ぎゅっと抱きしめる。 「それは『好き』っていう感情だよ」 「好き……?」 「そ。わかったら、寝ろ」 「……ぅん」  好き。  好き、か。  好き、て不思議だ。  さっきまで、恥ずかしいって思っていたのに。  今は、嬉しくて。 「好き……」  ボクは呟いて、ヴィアンテをぎゅっと抱きしめながら眠った。

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