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第15話

理人とセックスするときはお互い顔を見ないようにしている。なので、大体いつも体位は後背位だ。今日も、特に意識したわけではないが、理人の顔は見えず、後ろから突かれている状態だった。意識がはっきりしてくるうちに、なぜ今壮太は理人とセックスしているのだろう、なぜそれを、目の前で葵が見ているのだろう、とおぼろげな記憶を一生懸命辿る羽目になっていた。この状況は、一体なんだ。 「壮太、どう感じてるのか言わないとわからないよ?」 いつも通り、にこにこ笑顔を浮かべて葵は言う。突かれるたびに甘い声をあげ、気持ちよくないはずがないのに、葵はそれでも要望する。多分、サドスティック的な性格の持ち主なのだろう。初めてセックスしたときからそれは思っていたけれど、ここにきて確信した。言葉にするのはなかなか恥ずかしい。が、言わないと止められそうで、その方が壮太にとっては嫌だった。 「見られながらセックスするって、どんな気分?」 「恥ずかし……ぁ、見ない、で……ンッ」 恥ずかしいと感じながらも、普段より興奮する自分がいる。見られていることで興奮するだなんて、まるでマゾではないか。否、もしかしたら自分にはその気があるかもしれないが、あまりそれは認めたくはない。 「葵さん、も」 「どうして?壮太が選んだのは理人くんでしょ?ね、理人くん」 「え、オレに振ります?」 額に汗を滲ませながら、理人は苦笑している。顔は見えないから分からないけど、多分今、理人は凄く困っているだろう。確かに理人を選んだけれど、まさかこんなことになるなんて思わなかったし葵がノータッチで静観を決めつけるとも思っていなかった。だから、目の前でじっと見られることがどうしても耐えられない。だったらここに混ざってほしい。一緒にセックスしてくれていた方が気が楽だ。 「意地悪、しないで、」 そう言って、壮太は葵に手を伸ばす。そっと触れ、お願い、と言わんばかりに上目遣いで葵に視線を送る。折れてくれたのか、仕方ないな、と言って葵は壮太に近付いて、優しいキスをしてくれた。蕩けるような甘いキスにすぐに頭の中が真っ白になる。 「んあっ、あ、理人!」 「ごめん、もう、限界」 理人の腰の動きが速くなり、奥を激しく突かれる。声をあげ、助けを求める。いくら止めてと訴えても理人の動きは止まらない。そうこうしているうちに、壮太に快感の波が押し寄せて、体がどんどん熱くなる。こんな顔、こんな間近で葵に見られたくない。そう思い顔を背けると顎を持たれ、強制的に前を向かされた。恥ずかしすぎて目尻には涙が溜まっている。 「背けたら顔が見えないよ、壮太」 「あ、う……許して、お願い」 ポロポロと溜めていた涙が零れ落ちるが葵はいつもの笑顔を崩さない。 「いいね、その顔。最高だよ、壮太」 「ひっ、あ、ああ、い、く……!」 刹那、中に熱いものが注がれた。同時に達した壮太は体を小刻みに震わせて、それが恥ずかしくて葵から必死に視線を逸らすよう努める。が、顎を固定されているのでそれには限度があり、目の端に葵の表情が映り、それだけで何故かドキドキしてしまった。

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