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原葵 5
「何をしてほしい?」
「えっと……」
壮太は葵の腕の中で少し考え、顔を上げた。
「キス、してほしいです」
そう強請る壮太が本当に愛おしくて。
唇を重ねると、壮太の手に力が入った。触れ合うだけのキスをして、それがもどかしかったのか、壮太は葵にぎゅうと抱き着いた。
期待に応えるべく、葵は舌を入れ、口内で絡ませた。
厭らしい水音が部屋に響く。時折漏れる壮太の声はだんだんと甘さを増していき、唇を離す頃にはすっかり蕩けきっていた。
壮太の前を触れてみると、確かに硬度を増したそれを感じ、ふふ、と笑む。
「可愛いね、壮太。今ので感じちゃった?」
「葵さんのキスが、……エロいから」
「ふふ。どうしようか、これ」
敢えて自分から直接触れたりはせず、壮太に尋ね、答えを待つ。
自分からガツガツいくと余裕がないのがバレてしまいそうで怖いのだ。
本当はこんなにも余裕がなくて、壮太のことがこれ以上なく大好きで、今にでも押し倒して全身にキスをして、食べてしまいたい。
壮太と繋がって、壮太の可愛らしく啼く姿を見たいと思う。
だけど、ガツガツすると、今まで築き上げた壮太の中の葵像が崩れ去りそうで怖い。
こんなに切羽詰まっているところを壮太には見られたくはない。自分でも、自分勝手だな、とは思っている。
「意地悪……」
「うん、意地悪だよ」
ズボンを上から優しく触れ、撫でる。じれったいらしく、壮太は目尻に涙を浮かべ、息を荒くしながら葵を睨む。
「好きにしていいから……!」
壮太はよほど辛いらしく、自らズボンを脱ぎ始めた。
下着を脱ぎ去ると、発ち上がりかけた壮太の自身が可哀想にひくついていた。
「葵さん、お願い、ここ、なんとかして?」
「仕方ないな」
そう言うと、葵は屈んで壮太の男根を口の中に咥えこんだ。口の中で壮太のものが大きくなった。
「あ、葵さんっ、そんな、フェ、フェラ……」
動揺する壮太を無視し、葵は口淫を続ける。
まだ少ししか刺激を加えていないのに、壮太のそれはもう既に限界を迎えそうだった。
ちらりと上を見上げると、壮太が顔を両手で覆って動揺していた。
そういえば、葵の方からこういった行為を積極的に行うのは珍しいことで、だから壮太は驚いたのだろう。
口淫だけでこんなに動揺するなんて、葵の本性を知ったら壮太はどんな反応をするだろうか。それが楽しみでもあり、想像するだけでぞくり、と身震いした。
だけど、その本性を出すほどの勇気はまだ葵にはない。
「あ、は、離してください!あっ!」
刹那、独特の味のどろりとした液体が口の中に流れてきた。
先ほど散々出したので量は少なく、味も薄い。
一滴残らず飲み干して舌なめずりをして壮太を見ると、にこり、と笑って見せた。
「若いね、壮太」
「う……ご、ごめんなさい」
「謝らなくていいよ、壮太の気持ちよさそうな顔を見れて、オレは嬉しい」
壮太の申し訳なさそうな表情がまた可愛らしい。
壮太の仕草も、何もかも、全てが愛おしくて仕方ない。
「壮太」
上体を起こし、壮太の手を握りしめた。
自分よりも小さなその手はとても温かかった。
「オレを選んでくれてありがとう」
そう言って笑んで見せると、壮太はぽろり、と涙を零した。
「オレの方こそ、……こんなオレだけど、これからもよろしくお願いします」
嬉し涙を流しながら微笑む壮太がいつにも増して綺麗だった。
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