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山下友春 14

「もう、お前だって準備できてんだろ?早くやれよ」 「何をすればいいんですか?先輩」 いきなり敬語を使われ、先輩呼びをされ、心臓を鷲掴みにされたような気分だ。 「いつも先輩が言ってますよね、わからないことがあれば何でも聞け、って。わからないから聞いてるんですよ?」 入口に押しつけられたその硬度と熱を感じながらも、決して中には入ってこなくて。 首筋に舌を這わせながら、葵はじわりじわりと友治を追い詰める。 「どこに、何がほしいか、尋ねてもいいですか?」 こいつーーー! 顔が真っ赤になるのがわかったけれど、抗議したくても言葉が出てこなかった。 ここで文句を言ってしまうと、もうそれは永遠に与えてもらえない気がして。 「……あ、あおい、」 羞恥心で頭がおかしくなりそうだ。 両手で顔を覆って、頼むから、と小声で懇願したけれど、葵はそれでは許してくれなかった。 じっと、友治の口からその言葉が出てくるのを待っているようで、それがないと絶対に葵からはそれ以上の行動を起こしてくれないようだ。 「いれて、ほしい」 自分でも情けなくなるくらいにか細い声しか出なかった。 「お前の、それ、いれて……?」 「それ?」 葵はにっこりと微笑みながら首を傾げた。 「それって何ですか?いれてって、どこにですか?ね、先輩?」 指示してくださいよ、と悪い顔で言う葵の表情が目に入り、無理だな、と思った。 絶対に勝てっこないし、抵抗は無意味だと理解した。 「お前のその立派なやつを、尻の穴に、入れろって言ってんの……言わせんなよ、馬鹿野郎」 「……ふふっ。まあ、初めてだし、許してあげる」 葵はそう言うと、ゆっくりと友治の中に挿入し始めた。 決して無理はせず、様子を伺いながら進めてくれて、ありがたいような、もどかしいような、そんな気分だった。 「今からおねだりの仕方、教えてあげるから、次までに覚えてきてね」 ゆっくりと抜き差しを繰り返しながら、葵は卑猥な言葉を耳もとで次々に囁いてきた。 そしてそれを反復させるものだからタチが悪い。 「ひっ、あ……?」 突然体がびくんと跳ねて、何事かと思ったら、葵は見つけたそこを重点的に攻め始めた。 初めて感じる感覚と快楽に、怖くなって、涙が溢れてきてしまう。 「ここ、いいんでしょ?いっぱいこすってあげるから、気持ちよくなろうね」 「や、やだ、変……やめろ、葵、」 「違うよ。そういうときは、やめろ、じゃなくてね」 落ち着かせるためか、優しいキスをした後に、葵は友治の頬を撫でた。 「もっとして、って言うんだよ」 男のプライドが、一枚ずつ丁寧に剥がされていく。 無理矢理ではなく、あくまでも優しく、丁寧に。 「言わないと、いつまで経っても終わらないよ?」 確実に、仕留められていく。 「さっき教えたでしょ?言ってごらん?」 「あ……お、」 着実に、躾けられていく。 だけど、それを拒否することは友治には許されていない。 「頼む、から、」 頬に触れる手を握りしめて、羞恥で悶えそうになりながら、それでもなんとか声を絞り出した。 「オレを、滅茶苦茶に、犯して……?」 葵は満足そうに微笑んで、いいよ、と答えてくれた。 「意識、飛ばさないでね?」 正気を失わされた。 思い出したくもないような、恥ずかしい言葉を次々に言わされて、気が狂ってしまったかのように、快楽に溺れて。 意識は保っていたけれど、理性はどこかに飛んでしまっていた。 「オレのこと、忘れられない体にしてあげるね」 今になってもあの時の葵は忘れられない。 依存度が高い薬物に手を出してしまった、そんな感覚だった。 たった一晩で友治の体は変えられてしまった。

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