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第7話

「ありがとうございますー」  今日も今日とて、サングラス・スキンヘッド・黒スーツの珍客の背を見送った本庄は一拍置いたのち、店内を見渡して溜め息と共にスタッフ呼び出しボタンを押した。 「……帰った?」  そろそろと辺りを窺いながらカウンターに寄ってくる同僚を腕を組んで半眼で迎える。 「モニターで見ていただろ、とっとと出て来い」  図体ばかりデカくてそのくせ子供のように頼ってくる同僚は、高校の時の出来の悪い後輩だったりする。 「そんなに怖いのか?」 「当たり前じゃんッ!!」  例のマグロ漁船だの臓器売買などとほざいたのはこの男だ。 「この前来た時、何か焼けたみたいなニオイしてたんだよ! ぜぇったぁーい、拳銃とか撃ったあとだよ! しかも、多分すっごぉーく機嫌悪かった!! センパイ居なかったけどさッ!」  どうやらジャンケンに負けて泣く泣く対応せざるを得なかったらしく、早口に捲くし立てた同僚を見上げてぼんやりと思い出す。彼の言う時期にどこぞの組と組との抗争がどうのとニュースがあったのは確かだ。普段それほどテレビを見ない本庄も知っているくらいだから、相当大々的に取り上げられたのだろう。  しかし思うに、そんな大事件を起したにしろ巻き込まれたにしろ、通常運行でコンビニに買い物に来るだろうか。自分にはそんな神経ない。それとも、そんな神経でなければやっていられないのだろうか。 「だから気をつけてねッ! センパイ綺麗だから売られちゃう!」 「……そんな物好きいないだろ」 本庄の溜め息が静まり返ったコンビニ内に響いた。

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