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第6話
「早速だが、今日の昼休み、もう一度今度は図書室で雑務をやるから来てくれないか。俺たち生徒会は肩身が狭くて生徒会室すらなくてな。ちょくちょく場所が変わるから、その都度伝える」
「はい、ではよろしくお願いいたします。僕はこれで授業に戻ります」
深々と頭を下げて、去っていった。
がらんとした空き教室を見渡し、さっきまでの満ち足りた空気は、齊藤河南からもたらされたものだと実感した。
「おい、泉。今日の仕事は終わってるぞ」
「……明日やる分を今日する」
「じゃあ、明日の定期会議の予定の見直しでもしてろ」
「……ありがとう」
「お前がゾッコンなんて見てて気色悪いが、それで雰囲気が柔らかくなることは悪くない」
三船はそれだけいうと、バインダーを持って去っていった。
図書室はテスト期間以外は、静まり変えるほど人がいない。
それに加え、三船は今日は終わったからと来ない。
今図書室で俺は一人、口実として渡された定期会議の資料を広げている。
齊藤河南を待ちわびて。
だが昼休みを20分過ぎても彼は来ない。
とここでようやく齊藤河南が新入生であることを再認識した。
図書室までは一年の校舎の反対側に位置しているため、迷う生徒も少なくない。
俺たち三年は図書室と同じ校舎だからそこが盲点だった。
俺の厳選ミスだ。
迷子になってる河南を想像して身悶えたが、実物に限ると妄想を吹っ切って、図書室を駆け出した。
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