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第11話side齊藤河南
連れてこられた場所は、僕が行くまいと迷子を装っていた「図書室」で。
がらんとした物淋しい雰囲気からは、此処は人気の少ない場所だということを物語っていた。
「ここはテスト期間以外は多分、誰も使ってないんじゃねぇかなぁ~」
「そうだよな~だから、それ以外は穴場ってことになるんだけどな」
僕も探してたよ。
穴場的場所を。
でも、それはお前たちオッサンの為じゃない。
泉先輩と過ごすための穴場だ。
図書室につくと、やや広いテーブルの端に乗せられ、二人がかりでがっちりと腕と足を押さえ付けられる。
僕の貧弱な抵抗を見てたら、そこまでしなくても動けないってことくらい分かんないかなぁ~。
そういう淫らな行為にばかり耽ってるから、無能な頭の出来上がり、てことになるんだよ。
そんな罵詈雑言の嵐を口に出すことも出来ないまま、行為は始まってしまった。
「いやぁ、代表で挨拶してる齊藤君を見てからさぁ~、ずっと機会を窺ってたんだよな~」
「あどけない感じをさー、こう、汚してみたくなんじゃん?」
「こんな風にさ」と真新しいYシャツを、ブチブチッと引きちぎられた。
四月はまだ三寒四温の攻防が続いていて、ひゅ、と僕のつるぺたな体に冷たい空気が触れる。
「あーあ、泣いちゃったよ」
「めっちゃ良い眺めじゃん」
「これからもっとスゴいことするのに、泣いてちゃ見逃しちゃうよ」
「w」付けて笑うなよ。
男のくせに、て惨めになってくるから。
「う……ぅ……ぐす」
「加虐心擽られるなぁ」
足を押さえていた髭ちょこは、真新しい制服をダメにしたことに加え。
「ひゃぁっ……やめ、やめて……っ!」
耳に舌を入れてくるおおばかもの。
耳の形をなぞり、それから穴に出し入れするそれは、まるで本番をしているかのような絶望感だった。
キモいキモいキモいキモい。
顔もみたくない。
僕は逃げられないから、せめてもの抵抗に、顔を背ける。
すると、一番奥のテーブルに微かだけど、物がおいてある。
プリントのようだ。
あ、泉先輩、気にして探しに行ったんだね。
その気持ちはすっごく、嬉しい。
嬉しいけど、今日の僕は、空振りばかりだ。
僕が真っ直ぐ図書室に行っていたなら。
そんなタラレバを考えている間にも、どんどん髭ちょことの絡みは深くなっていく。
ああ、こうして強姦というのは、成立するんだなぁ。
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