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第13話side齊藤河南

今度は泉先輩に激似の人から、か。 何なら、本物が良かったよ……。 嗚咽が止まらなくなる。 悲しい、なんてもんじゃない。 絶望だよ。 生殺しなんてこっちの台詞だよ。 ヤるなら本物の泉先輩を寄越せよ! 「おいおい、コイツの喚き、悪化してんぜ?口だけなのかお前」 プリン頭や髭ちょこの冷やかしが、今や天使の囁きにも聞こえる状況で、僕は固く瞑った目を開いてみた。 「っ?!」 驚愕だった。 僕に覆い被さるその人は。 「齊藤……」 黒髪の爽やかな人は、泉先輩の激似の人じゃなくて。 本物が、僕を攻めよってる。 「お、名前読んだだけで一瞬で泣き止んだぜ!」 「顔がキレーだからか?んとに、世の中ふこうへーだよな!」 髭ちょこやプリン頭なんかしてるお前らよりは断然この人の方が。 「にしても。齊藤の身体、クサイ……」 「ひゃぁっ!?ちょ、い、い__!」 泉先輩が僕の身体を「クサイ」と言いながら、首やら胸の突起やらを執念深く舐めてくる。 僕は慌てて泉先輩を制止させようと名前を呼び掛けた。 だって、僕の体臭と髭ちょこたちの汚い唾液で「クサく」なった身体を舐めさせるわけにはいかないもん。 すると、「しっ、名前は泉(せん)だ」と僕の口を泉先輩の人差し指が制す。 「何でこんなにクサイんだ?」 「ぅあ……っやぁ……ん!」 「俺が綺麗にしてやるよ……」 「も、もぉ……やめ……てっ……」 僕の羞恥心を煽りながら、泉先輩は僕の身体を堪能しているようにも見えるのは、気の所為だろうか。 熱の籠った視線を送られ、刺激され、翻弄されるがまま。 躍動感のある行為に、完全に僕は、泉先輩に堕ちた。 「うひょーみてるこっちがぞわぞわすんね!」 「凌辱的なプレイでも、齊藤君可愛い声で啼いてるし、満更でもなさそうだな!」 「コイツは、ドMっていう本質を見抜いてたりして」 「そうに違いねぇ」とゲラゲラ嘲笑にも似た笑い声を出した。 その汚い笑いのなか、すぅ、と透き通る声を僕の耳を犯しながら囁いた。 「頭の悪い奴等だよな。退学させよう。そんで、人生に躓き、路頭に迷えば良い」 僕の心を掬い上げるために、そんな事を……。 でも、僕は快感を感じ取り過ぎて、それ以上の思考は閉ざされた。 要するに、僕の息子は、触れることなく絶頂を迎え、自身の身体を白濁で汚したのだ。

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