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第7話

嫌がる慶一に上だけでもと無理やりTシャツを着せて、毛布に包んだまま抱き上げる。激しく睦み合っていたせいで、腰の抜けた慶一はまだ歩ける状態ではなかった。 そっとリビングのソファに下ろす。まるで、いつもの朝のように。 しなだれかかるように背もたれに体を預けるから、はだけた毛布と捲れ上がったTシャツの裾から、何も纏っていない慶一の体がちらりと覗いた。 「……チラリズムってエロいよね」 慶一の纏う気だるげな雰囲気も相まって、そう思わず言葉をこぼすと、すぐに毛布を体に巻きつけて秋青を睨みつける。 潤んだ瞳に、羞恥に染まった頬。 慶一は心底怒っているのだが、その様子が上目遣いに見えなくもなく、秋青は苦笑しながらすぐに慶一から視線を逸らした。 手鍋に注いだ牛乳を火にかけ、修行のように無心でホットミルクを作る秋青の心中など、慶一は知る由もない。 修業とはいいつつ、「もういっかいしようとか言ったら、さすがに明日は口を利いてくれなくなるかな……」なんて、考えてしまうのだ。 「お待たせ」 いつものマグカップに、今日はたっぷりのホットミルク。 熱いのが飲みたいなどと言うが、慶一は猫舌だ。 だからいつも気持ちぬるめにしてあるのだが、それでも恐る恐る口をつける様は、どう見ても子猫がミルクを舐めているようにしか見えず、ただただかわいらしくて仕方がない。 口に含んだミルクをゆっくりと飲んで、ふうとため息を漏らすと、慶一自身も知らず、こぼれるやわらかな笑み。それを見て、秋青の胸にも温かいものが込み上げてくる。 男とか女とか、性別なんて関係なくて、慶一さんが慶一さんだから、そのままのあなたを好きになったんだ。 ふいにそんなことを伝えたくなった。

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