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「悪かった、やりすぎた」
精も根も尽き果ててぐったりと横たわるアオキを、紅鳶がバツの悪そうな顔で覗き込んでくる。
確かに、今日は少し…いや、だいぶ激しかった。
マツバが出て行った後もう一度イかされたし、後処理と称した手淫でまた乱された。
まともに歩けるかどうかさえ不安な状態だし、文字通り本当に何もかも出し尽くしたという感じだ。
今日はもうまともな接客はできないだろう。
オーナーに何と言い訳しようか…
苦笑を浮かべていると、大きな手が伸びてきてアオキの乱れた髪をそっと直していく。
まるで恋人にでもするかのような紅鳶の仕草にアオキの心臓はまたドキドキと鼓動を刻み始めた。
だめだ、勘違いしてはいけない。
アオキは彼を慕っているし恋愛感情を抱いているが、紅鳶がアオキに対して特別な感情抱いているはずがないのだ。
だって彼は売れっ子だし、魅力的で、アオキなんかよりずっと相応しい人が沢山いる。
こうして…若干行き過ぎてはいるが熱心に指導をしてくれるのは、アオキがあまりにも危なっかしくて見ていられないからだ。
「あの、今日もお忙しい中ご指導ありがとうございました」
自分に言い聞かせるようにお礼を述べる。
すると紅鳶の表情が一瞬にして強張った。
その表情はみるみるうちに怪訝な表情に変わっていく。
「もしかして…俺が指導のためだけにこんな事をしてるとまだ思ってるのか?」
凛とした眼差しを曇らせて紅鳶が訊ねてくる。
アオキは首を傾げ、戸惑いながらも「はい」と答えた。
「はぁ〜〜……」
紅鳶は眉間を押さえると、深いため息を吐きながらガックリと項垂れる。
何か都合の悪い事でもあったのだろうか?
それともアオキの返事の仕方が悪かったのだろうか?
滅多に見ない紅鳶の姿に狼狽えていると、突然肩を掴まれ引き寄せられた。
「アオキ、お前結構…いや、相当鈍いんだな」
「??」
頭の上に何個も疑問符を浮かべながらも、また逞しい胸の中に抱きこまれて心臓が慌ただしく動き出す。
「まぁいい。お前が理解できるまで何度だって指導してやるさ」
紅鳶は不敵な笑みを浮かべながらそう言うと、未だ理解が追いつかずポカンとしているアオキの額に唇を落としてきたのだった。
end.
読んでいただきありがとうございました!
次はマツババージョンで破廉恥喫茶開店したいと思います!
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