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バレンタインss5
スカートの中に潜り込んでいた紅鳶の指が、アオキのヒクつく後孔に差し込まれた。
「んんっ…ぁんっんっ…」
こんな場所でダメだ…
すぐに止めてもらわなければ…
頭の隅ではそう思っているのに、飢えた肉体はその圧迫感を悦びもっと欲しいと強請りだす。
襞を割って入ってきた指は、一度媚肉を擦り上げるとずるりと引き抜かれ、二本になって戻された。
「んんっ…っふ…ぅっっ…っ」
せめて声だけは抑えようと、アオキは必死に唇を噛み締める。
しかしそんなアオキの気持ちを打ち砕くかの様に、紅鳶の指が最も感じる部分を擦り上げてきた。
「あぁんっっんんっ」
引き結んでいた唇はあっけなく解け、甘い声が休憩室に響く。
アオキは慌てて両手で口を塞いだ。
しかし二本の指は内側でバラバラに動くと容赦なくアオキを追い詰めていく。
小刻みに揺らされたかと思えば、大きくグラインドされ、深く挿入されたかと思えば浅い場所まで引き抜かれ、また奥を突かれる。
巧みな紅鳶の手戯に翻弄されて、アオキの膝はガクガクと震えだした。
アオキの身体は紅鳶に開発されたといっても過言ではない。
入店当初、アオキの肉体は感度も悪く、反応も薄かったため客からクレームを貰うことなんてしょっちゅうだった。
しかし今では他のウェイトレスたちと同様客が付いているし、予約が一件も入らず暇を持て余すなんてこともない。
それは全て、紅鳶のおかげだ。
彼がアオキの頑なに閉じていた肉体を開き、快楽というものを教えてくれたからだ。
だからこそ紅鳶にはアオキの弱い場所なんてお見通しで、どこをどういう風に弄れば感じるのか熟知されている。
「っふ…んんっ…んんっ…っくぅん…」
塞いだ両掌が、喘ぎと唾液でしっとりと濡れている。
二本の指に追い詰められたアオキの肉体は、絶頂への階段を物凄いスピードで駆け上がっていく。
両手で塞がれた唇が「イク、イク」とはしたない言葉を繰り返した。
しかし…
あと一歩で達するという直前になって、突然孔から指が引き抜かれてしまった。
快楽を取り上げられたアオキの後孔は穿つものを求めてひくひくと震える。
「あぁ…っ…どうしてっ…」
アオキは涙目になりながら紅鳶を見上げた。
「相手が誰か言う気になったか?」
しかし、やはりアオキにはそれが何の事だかさっぱりわからない。
けれど普段優しい紅鳶がここまで怒りをぶつけてくるのだ。
自分が何かをしでかしたことに間違いはないと思った。
「あ…あの…俺、何かしてしまったのなら謝ります…す…すみません…」
アオキは必死になって謝った。
しかし、紅鳶の眉間の皺はさらに深くなってしまう。
怒りを治めるどころか火に油を注いでしまったらしい。
「謝ってとぼける気か…?だったら言うまで続けてやる」
唸る様な呟きとともに再び後孔に指がねじ込まれた。
今度はいきなり三本の指が、アオキの敏感な粘膜をこれでもかというくらい擦り上げてくる。
「ひぃっ…あううぅぅっ!!」
アオキは思わず悲鳴の様な声をあげてしまった。
何とか声を殺さなければと思ってはいるものの、もはやそんな抗いもできなくなるほどめちゃくちゃに抜き挿しされる。
激しい摩擦に媚肉はかわいそうなほど爛れ、三本の指を咥えさせられている入り口は次第にその面積を拡げられていく。
しかしアオキが絶頂を迎える寸前、見計らった様に指が引き抜かれてしまうのだ。
それはまるで、永遠に解放されない快楽の拷問の様だった。
どうしてこんなことになってしまったのだろうか。
朦朧とする意識の中でアオキは考えた。
考えて考えて、考えられる理由が一つしかないことに気づく。
きっと紅鳶はアオキのことが煩わしくなったのだ。
何がきっかけかはわからない。
けれど紅鳶にとってアオキが邪魔な存在になってきたのだろう。
もしかしたら好きな人ができたのかもしれない
いや、恋人ができたのかも。
だからアオキを突き放そうとしてこんな事を…
考えれば考えるほど胸が苦しくて息ができなくなる。
喉の奥の方から何かが込み上げてきて、アオキはそれを必死に飲み下そうとした。
けれど、どんなに嚥下してもそれはなくならない。
それどころかますます胸は引き絞られ、肺が何かでいっぱいになっていく。
まるで悲しみという泉が湧き上がり、その泉の水中深くに沈められた様な気持ちになった。
アオキはしゃくりあげるとついに涕泣を漏らしはじめた。
「嫌いに…ならないでください」
ボロボロと涙をこぼしながら、か細い声で呟く。
「俺…っ紅鳶さん、だけなんです…こんな風になるのも、こんなこと…したいと思うのもあなただけ…」
こんな女々しい事を言ったらますます煩わしいと思われるに決まっている。
わかってはいるけれど止まらなかった。
何度もしゃくりあげながらアオキは言葉を紡ぐ。
「ずっと前から好き…好きなんです…あなたの事が、好き」
言ってしまった後で自分が告白をしてしまった事に気づく。
しかし一度決壊した感情を抑え込むのはもう無理だった。
紅鳶が好き。
嫌われたくない。
シンプルすぎて飾り気も何もない言葉だ。
しかし、今のアオキにはそれ以外の言葉と感情が見つからなった。
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