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悪魔の証明 5

顔は腕と枕に埋まっているものの、その他は文字通り一糸まとわぬ丸裸だ。 尾てい骨からまっすぐに背骨の上を指先で遡っていくと敬吾ががばりと体を起こす。 そのまま枕を抱いてわたわたとベッドの隅に体を詰め込み、敬吾はお化けか妖怪かと思っている顔で逸を見た。 (ほんと猫みてー……) 「………無理だぞ!もう!!!」 思い切り釘を刺されて逸が破顔する。 「あはは、冗談ですよ」 「………………」 「敬吾さん、ほんとに体大丈夫?」 壁の角に背中を預けている敬吾に逸がにじり寄ると、また追い詰めているような格好になった。 逃げ場のないところにはまり込んでしまった自分を敬吾は呪うが、逸はその言葉通り優しく敬吾の頭を撫でる。 「すみません、無茶して………」 「…………………」 贖罪のように落ちてくる唇を受けているうち、敬吾の構えはまた軟化する。 それが象徴するように今日は敬吾の秤が妙に逸に優しく設定されているようで、それが逸にはたまらなかった。 我儘に求めても、無理に感じさせても、これと言った抵抗をしない。 ーー本当に自分のものなのだと、今日は何度思ったか知れなかった。 「敬吾さん今日すごい可愛い、いつも以上に可愛い……もう、いじめたくなっちゃって。ほんとごめんなさい」 「可愛くないっつってん、………いやいじめんなよ可愛いとか思ってんなら!小学生かよ!」 「ほんとですよねえ」 困ったように笑いながらも逸はまだ敬吾の首に唇にとキスを施し続けていた。 「あんなことしても敬吾さんが感じてるのが嬉しくて。もっとやっても感じてくれんのかな、許してくれんのかなって思ったらーー」 「ーーーー!うっうるさいって!」 「……止まんなかったんです。敬吾さん、俺には特別優しいって思ってもいい?」 「黙れってばもうっーーーーーー」 すっかり赤くなって背けられた顔をまた強引に自分の方へと向かせ、逸はその唇を奪った。 これも、自分のものだ。 「んっ、…………」 あれだけ存分に情事を交わした後とは思えないほど、逸は鮮烈に色を滲ませて敬吾の舌を追った。 何かしら危機を感じた敬吾が少しずつ肩を押す手に力を込める。 名残惜しそうではあるが思いの外素直に逸は唇を解放した。 「……………お風呂入りましょうか?……一緒に」 「別々だっ、ばか」 「この間一緒に入ったじゃないですかー」 「俺が酔っ払ってたからだろっ、今日は別に……」 「酔ってはないですけど。腰抜けたりしてないですか?」 「!!!?ばっ、だいじょぶだっばか!!」 ばしばしと二の腕を叩かれて逸が声を立てて笑った。 「ん、じゃあ……お風呂どうぞ、」 「………………」 敬吾の前から逸が退くと、敬吾がもそもそとベッドの縁へ移動していく。 なぜか緊張した様子で足を下ろし、そっと立ち上がったーーーーが。 「ほらー」 くすくすと笑いながら手を貸してやり、逸は真っ赤になった敬吾を抱き寄せた。 「一緒に入りましょう。ね?」 「………………っ!!!!」 「お姫様抱っこしていいですか?」 「絶っっっ対イヤだ!!!!!」

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