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褒めて伸ばして 37
通話を切り、端末の表示を落としてリビングのドアを開ける。
敬吾はよく眠っているようだった。
夕餉時から抱きに抱いてもう深夜だ。
自分はこのまま寝ずとも問題無さそうなほど満ち足りてしまっているが、敬吾はーーーー
(疲れたよなあ……………)
指の背で頬を撫でながらその横顔を見つめる。
(だから、毎日は、きつい……)
敬吾の言葉が脳裏を過る。
己の今日の荒ぶりようを鑑みるにそれはひしひしと真に迫って胸に滲みた。
いくらなんでも毎回毎回今日のように貪ってはいないがーーーー
敬吾と自分の体力差に開きがある。その上。
(ネコってすげえ感じるって言うもんな…………)
男の感覚の範疇を踏み外すほどに。
そこを顧みることができなかったのももちろんなのが、そんなことは瑣末に感じてしまうほど今日はやり過ぎた。
非常に、非常に気持ちは良かったし敬吾も恐らくそうだとは思うのだが。
床に膝をついて見本のような土下座をし、畏まって逸もベッドに入った。
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