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彼の好み リベンジ 5
「決まったか?」
あれから三日。
敬吾はこともなげに尋ねるが、逸の表情は気難しげだった。
「うーーん………」
「まあ急かしてるわけじゃねえけどさ」
自分は考える必要のない敬吾は気軽なものだった。
逸としては、思った以上の難題に気分はもうプレゼントをもらう側のそれではなくなっている。
自分が身銭を切るわけではないとなると、俄然相場が分からなくなってしまった。
それはまた違う意味で、敬吾へのプレゼントを考えた時もそうではあったのだがーー
「うーーん………」
すっかり困窮してしまっている逸に、敬吾は少々申し訳ない気持ちになりながら苦笑していた。
逸としては、敬吾が考えてくれたプレゼントならば本心何でも良かった。
消耗品以外ならば、だが。
かと言って自分から敬吾に買ってもらいたいと思うものなど何もない。
(バッグとかさらっとおねだりできる女の子ってすげえんだな………)
何と言おうかもはや生物として別物な気すらしてしまう逸であった。
(いや男でもすんのか……マダムにこう……ホスト的な……)
(………いや嬉しいのか!?好きでもねー相手からってーーーー、いや嬉しいか、単純に欲しいもんが手に入ってんだもんな)
考えれば考えるほど、敬吾に関係した事でしか喜べないらしいと逸は自分に呆れてしまう。
が。
(……………あ)
木漏れ日を弾く水面のようにひとつ、閃くものがあった。
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