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彼の好み リベンジ 7
「ーー敬吾さん」
人混み、と言う程ではないもののそれなりに個を紛れさせている駅前の人波の中から、逸はかなりの距離を隔てて敬吾に気づき手を上げた。
敬吾もそれに手を上げ返したものの、その嬉しげな表情が見えるようになったのはそれから随分歩いてからのこと。
「お疲れ様です」
「お疲れ」
面映そうな微笑は、本当は抱きしめたいのだろうなーーと敬吾に思わせるほどときめきに満ちている。
何をされたでもないのに照れてしまいそうで、敬吾は俯きここは外だ、と気合を入れ直した。
それが伝わってきて、逸はくすりと笑ってしまう。
「行きますか」
「ん」
ーー目的の店は、
ーーーー遠かった。
「あ、見えましたよー!」
「いやもう県境だろこれ!」
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