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したいこと? 7
「…………えーーー……」
「なんかないんですか!こんなことしちゃってる!みたいな!」
敬吾の瞳の輝きを、逸の瞳が奪っているような温度差だった。
疲れた老人のように顎を出し、敬吾はやはり呆れている。
「こんなの敬吾さんにしかされたことなーい!みたいな!」
「テンション上がりすぎだろお前」
そんなものお仕置きでは決して無い。
「俺、お前と違って変態じゃねーからそういうの全然ねーんだけど」
「えっ……」
差し水をされたようにしゅんと縮み、逸は小さく「へんたいではないです」と抗じてみた。
無論、説得力は全く無い。
敬吾は逸の犬顔を眺めている。
したいことなあーー。
本当に、特別何もないのだ。
強いて言えば困らせたい、からかいたい。
気兼ねなくそれをしていいという点では、魅力的ではあるのだが。
やはりこの男にはさほど弱点がないーー
「………あ」
「はい」
「潮噴いてみるか?」
「えッ」
「ふはっ!」
本当に、良い顔をする。
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