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したいこと? 8

「よし、じゃー風呂行くか」 「えっえっ」 「なんだよ」 「しお………ふく?え?おれが?けーごさんが?」 「アホか、お前に決まってるだろ」 「………………」 呆けている逸をよそに敬吾が立ち上がる。 「今更やだとか言わねーよな」 にやりと笑いかけられて逸がびくついた。 「いやっ、敬吾さんの口からまさかそんな単語が出るとは思ってもみなくて………っていうか噴けるもんなんですか、男で」 「らしいぞ。この間風俗レポ聞かされた…………」 あまり愉快な話ではなかったらしく、敬吾がげんなりと顔を歪める。 それも逸としては少々怖い。 「ほら来い」 逸の手を引き、脱衣所に押し込むと敬吾は「脱いでろよ」と言い置いて台所へと戻った。 再び脱衣所へ来た時には水を持っていて、半裸の逸を呆れたように眺める。 「全部に決まってんだろ」 「う、」 「これ飲め」 コップを渡し、逸がそれを飲んでいる間にベルトを抜いた。 それを軽くたたんで弄ぶ姿は、控えめに見ても折檻を連想させる。 没収するようにコップを受け取ると、目で脱げと促して敬吾はそれを片付けにまた台所へと戻った。 帰ってくるまでに脱いでいなければ一体ーー、 ーーひやりとそう思いジーンズと下着を脱ぎ落とすと、戻ってきた敬吾は薄く笑った。 「後ろ向け」 よく躾けられた犬のように逸が従うと、敬吾は両手を後ろ手にまとめてベルトで縛った。 血が止まるようなきつさではないが、抜けそうもない。 「マジですか………」 敬吾は何も言わず、口の端を上げるばかり。 また敬吾の指示で逸は空の浴槽の中に座り、脚を組み合うようにすし詰めになりながら敬吾も向かいに座り込んだ。 不安と興奮と緊張がないまぜになった鼓動が苦しい。 敬吾は服を着たままだしーー何と言おうか、主従感のようなものが漂っている。 裸の胸は鼓動の高鳴りを隠せず素直に上下した。 伏し目がちにそれを眺めている敬吾の表情は平坦で読めないーーが、薄い唇を僅かに噛まれて逸の呼吸がさらに速くなる。 その口元が今度は月のように吊り上がった。 「お前ほんと素直だな」 そう言った敬吾の唇が近づく。 他の全てを遮断するように目を閉じて逸は、敬吾だけに浸った。

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