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アクティブレスト 3
携帯をポケットに放り込み、作業用のグローブをはめる逸の顔には生気が戻っていた。
気合は入っているものの微笑んでいる逸を見て、篠崎が瞬く。
「逸くんどうした?」
「え?」
「いきなり元気になったねー」
「そうですかー?さて、どうしましょう」
よもや篠崎が気づくとは思えないが敬吾に言及されないよう話を戻すと、篠崎は見事に頭を切り替えたーーと言うか引きずり戻されたらしい。目下の問題の中に。
頭が痛いのだろう、眉根を寄せて後頭部を撫でながら、配置は半端なくせに荷物ばかり溢れかえっている仮の店内を眺めている。
「壁に手ぇ付けられないってキツいな……、今いじれるのここだけか」
「そっすね、素直に全部荷物どけてこっからやるか……じゃなきゃ棚は手付けないで荷物の部門分けしときます?」
「ああ、そうしようか……他のみんなも大体の中身把握できるしね」
そう言って篠崎は指示を出しに行き、逸は手近な段ボールに手を掛けた。
こちらのミスだと言うならまだしも、どこぞから波及してくるトラブル続きで疲れた頭に敬吾の言葉が去来する。
ここに敬吾がいてくれたら百人力もいいところだ、もしかしたらそもそもこんな状況に陥らなくて済む妙案すら打ってくれたかもしれない。
が、やはり本分は学業にある敬吾には負担が大きすぎる。
本人が言ってくれた通りただの人足として手伝ってもらったとしても、それ以上に頼みにしてしまうことは目に見えていた。
(頑張んねーとな………)
「逸くん!」
「え、はい!」
「佐藤さんがさ、営業ついでに什器持って寄ってってくれるみたい!」
「マジですか!!?」
篠崎の言葉に、逸とスタッフが色めき立った。
「やったーー仕事進みますね!」
「良かったーー!」
「俺車回してくるから逸くん搬入口行ってて!なんか他の店舗のとか交ざっちゃってるみたいで、二人で行って仕分けないとキツいっぽい」
「了解です!」
「じゃ皆しばらくよろしくー!」
そう言って踵を返す篠崎に続き、背中に送り出す声を聞きながら逸も走り出した。
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