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アクティブレスト 6
「どうもー!こちらどこに置きましょう?」
「えーーっとあーーー、じゃ、そこの壁に寄せて置いといて下さい!」
「ちょっと待って店長ダメですって!!そこの通路は最後まで塞げないんですよ!」
「あーーーそうだった………」
「あのー……どこに置きましょ?」
「これ何本のやつですか?」
「三本ですね」
「あっじゃあこっちで!田中君ごめんここの荷物避けるの手伝って」
「はーい」
「じゃあここの空いたとこお願いします、配線柱側で!」
「了解です、ではハンコーー」
「は、さっきのあの人にお願いします!」
「岩井さーーん!すいませーん」
「はい!」
「今日来た荷物伝票シールが見当たらないんだけど、あたしが辞めてる間に仕様変わりました?」
「え!変わってないです、いつも付いてきますよ」
「付いてないんですよねえ……」
「………………」
「………………」
「……田中くん!今来た什器開けて設置しといてくれる?あとガンガン商品入れて!」
「了解ですー」
「荷物どこすか」
「あれ全部です……」
「…………………マジで貼ってなかった?」
「無かった………運送屋さんにもチェックして最後に運ぶようお願いしてたし、あたしも見ながら運んだんですけど」
「……………………………………あけますか、ぜんぶ」
「ですよねぇーーーー……」
「逸くーーーーん」
「はいー!」
「ここのネットって結局何になったんだっけ?」
「え、アクセじゃないんですか」
「アクセなんだけどさ」
「ああ、問屋」
「そう……」
「まだ揉めてんじゃありませんでした?」
「そうだっけぇ?うわーーやだなーーーー!」
「そこはガツンと言えばいいでしょ店長が!!」
ーーーー
一事が万事、この調子であった。
とにかく人のミスに気を使い、不慮の事態に対応し、手の空いている人間を探し、作業を割り振って、最短の流れを考える。
張り詰めきった神経が気持ちや体まで硬くするようだった。
「岩井さーーん!」
「はいー!?」
「お客さんですーー」
「へっ?」
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