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アクティブレスト 14

「……………いって……」 ーー無機質なマットの上で目を覚まし、逸はまず最初に時計を確認した。 寝過ごしてはいないがやはり眠りが浅かったのか、逆に早く起きすぎている。 そして、参ったことに疲れは全く取れていない。 昨夜は、さすがに効いた。 仕事はよく進んだが、それが感覚を麻痺させていたらしい。 催眠術にでもかかったように動いて動いてーーー 気がついたら電池切れを起こしていた。 帰るよりも、一秒でも早く眠ることを選んでしまった…………… (大失敗だった………) フルフラットのブースとは言え逸の体格では大の字になれるわけもない。 凝り固まった関節が痛いし、夜通し灯りが点いていたので頭も重かった。 急に年をとったような気持ちになって、逸はやや落ち込む。 首を回して、一度帰ろうかと考えた。 このまま寝直しても体が楽になるとは思えないし、シャワーくらいは気兼ねなく浴びたい。 それにーーー (敬吾さんいるかな………) じわりと生まれる乾いた欲求に、逸は項垂れて顔を擦った。 (ぎゅってしたい) (チューしたい) (抱きたい) (抱きまくりたい………) 帰るなら敬吾が出掛けてしまう前にーーーと思うのだがーー。 逸はしばらく、そこから動けなかった。

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