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アクティブレスト 26

「………………っあーーーー体軽いー!」 首にタオルを掛けたまま、逸は大きく体を伸ばす。 逆に少々疲れている敬吾は無言で髪を拭いていた。 「腹減りましたねー、飯何食べます?」 「いやいや、篤さんと食うんだろ」 「あー、そうだった……つーか俺1、2回しか会ったことないんですけど……」 「でも顔合わせたことはあるんだな。なら分かるだろ、ああいう人なんだよ。変な反応すんなよ」 「?」 不思議そうに首を傾げる逸を、やはりくたびれたように敬吾は見返す。 「つーかお前はほんとに……なんつーか、タフだよな……」 「えっ」 呆れたように見据えられ、逸は驚きながらも苦笑した。 「ど、どういう意味でしょう……」 「そのまんまの意味だ。あんだけくったくたになってたのに今これって」 「まあ、諸々代謝が早い方ではありますけど」 酒も、風邪や怪我も、疲れも。 食べて眠れば確かに大抵治ってはいるが。 「別にそんな……寝る暇もないってほどじゃなかったしー、敬吾さんご飯とか洗濯してくれてたし。別に普通だと思いますよ」 「そうかー……?」 「敬吾さん不足は深刻でしたけどねー」 これでもし家が遠かったらと思うと寒気がするが。 まだ濡れている敬吾の髪に頬を付けながら、逸はまた裸の腹を貼り付けるように腕を回した。 「う…………、」 「って言うかむしろ、敬吾さんいたら寝なくても食わなくても平気ですー」 「おお、すげー冷静になったわ」 「ええぇ………」 すっかり冷めた顔で逸の体を押しやり、敬吾はシャツを着る。 「つーか電話誰だったんだ、大丈夫か?」 「ああ、そう言えば」 やっと携帯を確認して、逸は真顔になった。 「後藤さんとー、八幡さんとー、後藤さんです」 「後藤うぜえー!」 「ほんとですよ!いいとこで!」 「そういうことではない」

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