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襲来、そして 24
敬吾の額に口付け、その唇で優しく頬や喉を撫でながらも、逸は性急に敬吾の腿に手の平を滑り込ませて淀みなく指先を飲み込ませた。
柔らかい愛撫と余裕のないその指との乖離に敬吾が少し驚くと、逸が苦笑する。
「すみません……」
「や、……いい、っけどーー」
逸は困ったような表情で微笑み覗き込んでいるのに、敬吾は指一本入れられただけでもう体が大きくひくついてしまう。
息一つ乱していない逸にその痴態を見られるのが恥ずかしくて顔に腕を乗せると、逸は退かしはしないものの指の背で乳首を撫で、鳴かせてその羞恥を煽る。
「んんっ!や…………っあ、……っ」
「敬吾さん、可愛い………ーー本当はもっと、気持ち良くしてあげてから入れたいんですけど、……もう俺」
「ーーんっぁ……!っ分かった、から……っ言うな!………!」
今日の逸は、いつにも増してだだ漏れだ。
色気や発情っ気もだが、それよりも敬吾に関する感情が全て、咽せ返りそうなほど。
熱く甘く、喉と言わず埋められた指と言わず肌からも視線からも伝わってくる。
どこまでも濃くなり続ける情や歓喜が。
その空気に当てられて、敬吾はただ自分の体が溶けないように形だけでも保っておこう、などと突拍子もないことを考えていた。
大真面目ではあるのだが。
しかしーー
「……入れますね」
「………………!」
もうそれも、意味がないかもしれない。
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