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第2話 おにぎり
その日もグレーは早朝から事務処理に追われていた
パソコンとひたすら格闘中
気が付けば時計の針はいつの間にか昼を指している
そういえば朝から何も食べてない
ぐうぅ~
腹の虫が盛大に鳴きグレーは諦め半分に呟いた
「仕方ない…珈琲で誤魔化すか…」
空になったコップを手にしてデスクから離れようとした時コトリと音がした
視線を向けると
それはデスクの端にいきなり現れた
皿に盛られた大量のおにぎり
数人分はあるだろうか…
手作りだとわかるほどに歪な形をしていて
誰が作ったのか一目瞭然だ
「クスッ、いきなり現れて魔法みたいだな」
しかしこの量は…食べきれるか?
予想外の出来事に笑みが溢れたと同時に
会いたい・・・
その姿を見せて声を聞かせてくれと・・・
部屋を見回し見えない姿を探し問いかける
「そこにいるのか?クリスタル」
もちろん返事はない
既にクリスタルは部屋から去っていた
「姿が見えないんじゃあ礼も言えないな…」
溜め息をつき肩を落とす
そばにいるのに姿が見えないなんて
まるで幽霊に恋してるようだよ
崩れかけのおにぎりを手に取り食べてみる
「ぐふっ」
これまた予想外の味に笑いが込み上げてきた
「ふふふ…甘いなぁ」
数時間後、空になった皿と胃薬を探すグレーの姿があった事は誰も知らない
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