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第4話 首輪

『再起動を確認しました。5秒後に稼働開始』 『おはようございます。今日も1日頑張りましょう』 いつも同じ頭の中の電子音声で目覚める朝 「確か昨日は廊下で停止したハズだが」 これもいつもと同じ そして自室のベッドの上で目覚めるのも同じ 「いったい誰が俺を運んでるんだ」 そもそもクリスタルには記憶が無い 気が付けば此処にいてレンジャーとして戦っていた コードネームはクリスタル 全身義体(軍仕様)戦闘に特化し 人工皮膚と人工筋肉も使われているので外見は人とかわらない 自分の記憶に関係する事以外は全て頭の中のAIが教えてくれる ナンバーはtypeーA おそらく試作なのだろうAIへの負荷が大きいのか よくエラーを起こし場所を選ばずいきなり機能を停止する そしていつも誰かがクリスタルを部屋まで運ぶのだ 今朝は何か身体に違和感がある耳鳴りのような感じだ ベッドから起き上がりバスルームへと向かう 軽くシャワーを浴び鏡越しに自分を見る 違和感の正体… 目線が首に向けられる 「何だぁこれは‼」 声はバスルームに響いた 首に付けられた黒い首輪そして小さな鈴 慌ててシャワーを止めた 「おいおい、これ大丈夫なのか?誤作動したりしないよな」 手を首の後ろへ回し外そうと試みるが 何か特殊加工してるようで外せない 「嘘だろ?AI、光学迷彩機能をオンにしてくれ」 『光学迷彩機能の通常使用を開始します』 クリスタルはじっと鏡から消えていく自分を見ていた 何故か頭の奥がチリチリする 記憶に関係する事だろうか 首輪も鈴も完全に消えた事が確認できた 「…消えた…って事は俺仕様って事だよな」 「AI、エラーやウイルスの侵入はないか?」 『エラーなし、ウイルス侵入なしです』 「そうか、ならいい」 指でそっと鈴に触れてみた リンと透明色に響く音 「ははは、何だこれ。俺様は猫かよ」 俺仕様に特別に作られたモノ… クリスタルは少し嬉しかった これを付けてくれたのはアイツだったらいいな そんな事を思いながらバスルームを出た

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