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第8話
ようやくそんな爛れた私生活が改善されたのは、高等部に入学してからである。
急に身辺整理をし、夜遊びもすっぱり止 め、模範的で健全な生活を送るようになった薫を不思議に思って「どんな心境の変化」だと直接尋ねたら、本人いわく「高校デビュー」ということだった。
――普通は逆である。
「生徒会長がヤリチンじゃさすがに体裁が悪いだろ」
とは、本人の弁である。生徒会長でなくてもヤリチンは悪いぞと忠告したら、藍色の目を細めて「もっともだ」と笑った。
そんな中学生らしからぬ中等部生活を送っていた薫だったが、……ただ、唯一、男女ともにΩだけは、敬遠していた。
「Ωは面倒くさそうだしな」
というのが、薫の表向きの言い分だったが、実際のところは少し事情が違って、……どうやら薫は過去に発情期のΩに襲われかけたことがあったらしい。
俺がそれを知ったのは高等部に入ってからで、本人の口からではなかったが、――余計に言えない材料が増えて気が重くなったのを今でもはっきりと覚えている。
(…………思い出さなくてもいいことを、思い出してしまった…)
寛 げて弛んだズボンの下に薫の手が入り込み、そこを無遠慮に弄 りだす。とたんダイレクトに快感が腰を突き抜けて、俺は鋭く息を吐いた。
「なんだ…もうこんなに硬くてベタベタになってるじゃないか……。涼しげな顔してるから、わからなかったよ」
「薫…っ」
薄く笑って言われた指摘が事実なだけに、羞恥で顔が熱くなる。
確かに、直接触られる前から、そこは痛みを伴うほど張りつめていた。
ずるりと下着ごとズボンを引き下ろされ、勢いよく飛び出たそれが腹を打つ。
「ッ…く…!」
……衝撃にイってしまいそうになった。
「あ、悪い」
「お…まえ…っ」
扱いが雑で泣きそうだ。
経験値は高いかもしれないが、薫は今まで一度もΩを抱いたことがないのだろう。
だから、俺が今どれほど大きな快楽と戦っているのか、きっとわかっているようでわかっていないのだ。
事実、ほんの少しばかり困惑しているようにも見えた。
「かおる」
「……なんだ」
「今なら…まだ、引き返せる」
「――なんだやっぱり怖気づいたのか? だが、逃げようとしても無駄だぞ。諦めろ」
「違う。そうじゃない…」
もどかしい気持ちが湧きあがった。
薫の手が、だらしなく先走りを垂らしてしとどに濡れた性器に触れ、ツと竿を下り、袋の曲線を伝い、その奥の窄まりへと…――俺へ見せしめるようにゆっくりと辿り、目的の場所に着くとそこにぐっと指を一本挿し込んだ。
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