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第16話

「…ぅあ…! かお…るッ」  まだ充分に柔らかさを保っていた秘部は簡単に猛った雄を受け入れ、媚肉は再び与えられた快楽に打ち震える。  ガツガツ腰を打ち付けながら、薫は淫蕩に喘ぐ俺を見下ろしてせせら笑った。 「こんなにいいっ…て、知ってたらッ、とっくの昔にッやりたおして、孕ませていただろうな…っ」  俺はそこでようやくハッと本来なら絶対に忘れてはならない重大なことに思い当たった。 「避妊は!? 避妊してないよな!? さっき、おまえ、中出ししただろ!」 「……はぁ? ……なにを今更。……まったく…、そこまでΩの自覚がなさすぎるのも心配だよ」  そう言葉にしつつも、一向に腰を止める様子はない。  気持ちよさそうにセックスに興じている。――なんでこいつはこんなにも危機感がないんだ。  今度は俺が薫にダメ出しをする番だった。  「間違いを正す」=「駄目出し」  実は俺たちの約束はそんなに大仰なものではなかった。  言い換えれば、単なるダメ出し合戦だ。 「だめだ。出せ、いや出すな」 「どっちだよ」 「ペニスを出して、精液は出すな。妊娠する!」 「まさかおまえの口から『妊娠する~ぅ』なんて叫びを聞く日が来るとはなぁ」 「『妊娠する~ぅ』なんて言ってないだろ」 「言ったじゃないか、今さっき」 「そんな甘えた口調じゃない」 「……いや? そうでもなかったぞ?」  真顔で言われ、「そうなのか?」と不安になる。  抱かれたからって、口調に影響したりするのだろうか…?  日常生活がやりにくくなるではないか。 「大丈夫。おまえと生まれた子供を養うくらい、たとえ現役高校生…いや、今仕込んだなら大学生か…、ま、どっちにしろ俺なら余裕だ」  甲斐性のある男前なセリフだが、未成年という時点で俺にしてみたら完全にアウトだ。…というか仕込むとか言うな、不謹慎な。 「大丈夫なわけあるか! 俺はできちゃった婚なんて嫌だからな!!」  風紀委員長が学生時代に妊娠とか、とんだ醜聞(スキャンダル)である。風紀の長が率先して学園の風紀を乱してどうするか。  しかし、俺の心の底からの叫びに返ってきたのは、――薫の滅多に聞かない弾けるような大爆笑だった。  何がツボに入ったのか…俺に突っ込んだままげらげら笑う番の姿に、やっぱり自分がしっかりしなければと改めて胸に刻み込む。  これまでも互いに足りない部分を補いあってきた。  ……そして、これからも俺たちは肩を並べ、共に歩いてゆくのだ。  ずっと二人で、遠い先の未来まで――… END

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