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第6話
仰向けになり、足を閉じる事も許されず開いたままベッドがギシギシと悲鳴を上げる…肌と肌がぶつかるパンパンという音…食いしばった歯の間から漏れる呻き声。
勇士の動きが早くなる。
「…いいよ……もうすぐイキそうだ……中に出すからね……」
勇士は今まで以上にガンガンと激しく腰をぶつけてくる。
「…ふぐぅ……っ…ふきぃ…っ……きひぃ……っ」
痛みの為に遠くなる意識を必死に繋ぎ止めていた俺は、中に出す……その言葉を聞いてこの苦しみがもうすぐ終わる事を知り、ホッとすると同時に恐怖した。
必死で首を左右に振る。
俺の全ては蓮のモノだ。
この身体だって例外じゃない。
それを他人の欲望で汚すなど………。
だが、俺が嫌がれば嫌がるほど、拒否すれば拒否するほど、勇士が喜ぶ事も知っている。
今だって、俺が首を左右に振っている姿を見下ろし、嬉しそうに笑っている。
「…これは……マーキングだよ…っ……遥香がボクのモノだというね……っ」
俺はお前のモノじゃない……っ!!
蓮のモノだ……っ!!
「…イク…イク……イク…イク……イク……ッ」
勇士は先ほどから鼻息も荒く、イクという言葉を繰り返している。
「…うぐ…っ…ぐぅ…っ……ぎぃ…っ……ふぐぅ……うぐぅ……っ」
勇士が激しく腰をぶつけてくるたびに俺の食いしばった歯の間から悲鳴が漏れる。
-勇士の限界が近い………。
(…蓮……蓮……蓮……ごめん……っ)
俺は心の中で蓮の名を呼び、謝る。
「……イク~~~…っ!!」
「……ぐふぅーーー…っ!!」
勇士は今まで以上に俺の腰を強く掴み、自分自身を俺の中へ深く突き入れてきた。
その瞬間、勇士の欲望が弾けた。
俺はその、気持ち悪さに吐き気がする。
俺の中にまだ、勇士の欲望の残滓が流れ込んでくる。
「…凄い……気持ちいい…まだ出てる………」
勇士がうっとりと呟く。
(気持ち悪い………)
勇士の俺の腰を掴んでいた手が離れてホッとした。
「…相変わらずいい尻だったよ……最高だね……でも、これが気に入らない」
勇士は、最初から最後まで萎えていた俺のモノを掴むと、力を込める。
「……あう……っ」
「……どうしてココは勃たないの?」
そう。
俺のモノはこの行為の間中、萎えたまま勃つ事はなかったが勇士にとってはその事が不満だったらしい。
今日だけじゃない。
今までずっと、感じた事はない。
当たり前だ…勇士相手に勃つわけがない。
「……どうしてかな?…もしかして元々勃たないのかな?」
-使用人の中には去勢されたり、勃起できないようにされた者もいると聞く。
だが、冗談じゃない。
勇士が俺に対してそんな事をするはずがないし、させるはずがない。
「…もう、気がすんだだろ……帰らせてくれ」
「駄目だよ…今日は遥香を感じさせるって決めているから。本当はあまり気が進まなかったんだけど…しようがないよね、感じないんじゃ。直人」
今までずっとそこにいたのか………。
それまで部屋の陰で控えていたらしい直人が黙ってベッドに近付き、小瓶を勇士に渡す。
「ふざけるな……そんな薬を使うなんて聞いてない」
「当たり前だよ、言ってないもん。でも、勃たないんじゃしょうがないじゃん……それとも…勃つように努力する?」
「ふざけるな!!…もう、付き合えるか」
吐き捨てるように言うと、ベッドから下りて脱いだ服を手に取る。
「帰さないって言っただろ。直人」
俺の方に伸ばしてきた直人の手を払う。
「…お前も、いつまでも勇士の言う事を聞いてんじゃないよ」
俺のそのひと言に、いつも無表情だった直人の顔が赤くなる。
「遥香!!」
直人の拳を受け流し、右足を直人の左膝に繰り出そうとした時、勇士の声が聞こえてギクリとした俺は足をピタリと止めた。
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