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第11話

-結局、解放されたのは明け方近くになった頃だった。 俺はボンヤリと蓮の寝顔を見ている。 すやすやと寝ている蓮の頭に触れようと手を伸ばして………止めた。 (…蓮を裏切っている俺には、蓮の側にいる資格はないのかもしれない) こんな事が知られたら、蓮からは引き離される。 それは絶対、避けなければならない。 だから、誰にも知られてはならない。 蓮にも………誰にも………。 勇士も珍しい玩具を手にした感覚でいるんだろう。 勇士が俺に飽きれば………。 それまでの辛抱だ。 それまで我慢すれば………。 ………………………………………… …………………………。 ……………。 『……あの蓮って子、可愛いな…あの子をボクのモノにする事、できないかな~』 -始まりはBクラスのリーダーである勇士が呟いた言葉を偶然、聞いてしまった事だった。 Bクラスの悪評は俺の耳にもはいっていた。 この学園は金持ちのエリート進学校として有名だが、それは金持ちで頭のいい坊ちゃんばかりのAクラス、奨学金制度を使っている真面目な学生ばかりのDクラスでの話。 CクラスはAクラス、Bクラスの使用人ばかりだから問題はない。 問題があるのはBクラス。 Bクラスには自分達じゃ手に負えなくなった為に金を積んで学園に入学させた問題児ばかりの集まり。 問題児ばかりが集まっているBクラスだけは家ヘ帰る以外の外出が認められない。 だが、学園に入学する前は金に困らず、甘やかされて育った少年ばかり。 毎日、遊んでばかりいた少年達が寮と学校の往復だけで規則正しくなんて、できるはずもない。 学校は男子校。 当然、女性はいない。 先生も男性ばかり。 中学の頃まで女性遊びもしていただろうBクラスの生徒が学園に閉じ込められて、あり余った欲望を解放する場所もないのは耐えられない事だったらしい。 Bクラスの生徒は自分達の相手を学園内から見つけ出す事にした。 それはだいたい奨学金制度を使っているDクラスから選ばれる。 問題になっても、金で解決できると考えているからだ。 Aクラスの生徒が選ばれる事はまずないが、選ばれたとしても自分より格下の家柄を選ぶ。 蓮の家はこの学園に通う全校生徒の中でも、一、二を争うほどの家柄だから、その噂を耳にしても慌てずにいる事ができた。 だが、偶然とはいえ勇士の言葉を聞いてしまった。 勇士は問題児ばかりの集まりであるBクラスの中でも一番の問題児だと聞いていた。 我が儘放題で、暴れると手に負えなくなる。 望んだ物が手に入らないと、すぐ暴れる。 そんな勇士はどういうわけか、入学当初から蓮の事をライバル視していた。 だが、蓮の家はこの学園の中でも、一、二を争う家柄。 オマケに蓮は末っ子で皆から溺愛されている。 そんな蓮に本気で手を出すような愚かな人物がいるとも思えなかったし、蓮も基本おっとりとしていて、あまり勇士の事は気にならないみたいだったので俺も気にしないようにしていた。 -その愚かな人物がいたらしい。 (…俺が何とかしなければ……)

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