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第17話

「……使用人じゃなくてもいい……蓮様のお側に……いさせて下さい……っ!!」 俺の言葉に、俺を蹴ろうと上げていた豪の足がピタリと止まる。 「……………………………そうか……………そうだな………」 何か独り言を言ったと思うと豪はしゃがみ込み、俺を見詰め唇の端を上げて笑う。 「……残念だったな、あのままいけばお前も蓮専用の執事になっていたのに……だが、こうなった以上、お前を使用人としても雇う事はできない……できないが、蓮の役にたつ事はできるかもしれないけど……どうする?」 -蓮の役にたてる!! 俺は考える間もなく頷いた。 豪が踵を返す。 「…ただし、これからは一生、蓮には会えないと思えよ」 今度こそ豪は振り向く事なく、立ち去っていく。 豪の後ろを影のように付き従っていく尋美の後ろ姿を羨望の眼差しで見詰める。 本当なら俺も蓮の後ろを…尋美のように…。 ………どこで間違ったんだろう……。 豪と入れ違いに黒服の男達が部屋に来て、俺は全裸のまま黒い車に乗せられる。 そして………何故か、勇士と直人も別の黒い車に乗せられていた。 勇士は何か叫んで暴れていたが、直人は観念したように大人しくしていた。 学園の生徒達は何事かと興味津々に窓から覗いている。 俺が車の中に全裸で引き立てられた時は一際、大きなざわめきが興ったが俺はもう、そんな事はとうでもよかった。 車の中で両手を組み合わせ、蓮の無事を祈るだけ。 車の中では男達が蓮の事を話していた。 どうやら、蓮がいきなり学園の校門から車道に飛び出したらしい。 (………俺のせいだ!!) 車の中、俺は全裸のまま両手を組んで祈り続けた。 ……………震えながら……………。 車が止まる。 「下りろ」 -男達の声がした。

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