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第3話

(父上、母上……俺もお側に行きたい)  白じむ空。  陽光が降り注ぐ日中は瞬く星々の夜へと変化し、そして今は朝焼け間近だ。  フィーユは相も変わらず夜の闇を思わせる天蓋のベッドで目を覚ました。  いったいここで何日が経過しただろう。  虚ろな夢から抜け出せば、また抱かれる。  こうして昼夜関係なく常に抱かれ続ける躰は疲労し、気が付けば眠りについてしまう。  うっすらと広がる夢の世界で願うこれは現実なのか。朦朧(もうろう)とする頭では理解できない。  今は亡き両親を思い、願っても叶わないことは知っている。  自分はこうやって死んでいくのだろうか。  今は無き緑豊かなバスティーザ王国を思い馳せれば、穏やかに微笑む両親の姿を思い出す。  (かつ)ては惚れた相手から無理矢理躰を開かされ、玩具のように扱われるこの辛い現実とバスティーザ王国で暮らした過去の栄光。  あまりにも両極端すぎる過去と現実。それが余計にフィーユを苦しめる。 「っひ、っ……」  悲しくて、辛くて、苦しくて、フィーユは涙を流し、意識を飛ばす。  そうこうしているうちに職務を終えた彼が姿を現すだろう。そしてまた自分を抱くのだ。  本人の許可も得ずに――。  フィーユは嘗て、バスティーザという竜の国の王子だった。緑豊かな王国のそこは両親がおり、民は皆、笑い合い、活気に満ちていた。それがある日、和睦同盟を結んでいた筈だった隣国の竜の国、グレファから突然の襲撃を受けた。  バスティーザも両親も、フィーユが慕っていた誰も彼もがこの国の主と将軍に命を奪われた。

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