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第4話
『人が傷つく戦だけはしたくない』
『私も常々そう思っております』
それは過去。幾度となく対話を繰り返し、語り合った。
この国の将軍、キュロス・アスグローデはフィーユの意見に耳を傾け、同意してくれていた。
国王になるにはまだ未熟な考えのフィーユを嘲ることなく受け入れてくれる彼の深い懐と、その凛々しい姿に惹かれていった。
彼となら、戦で誰も傷つくことなく平和と共に歩んでいけると思っていた。
それなのに――。
彼は反旗を翻し、自分をただの玩具として扱うばかりか両親の命をも奪ったのだ。
もしかするとフィーユが語る夢物語を、彼は頷き返す心の奥底では嘲笑っていたのかもしれない。
過去とのやり取りを思い返すだけでも憎々しい限りだ。
隣にあるナイトテーブルを見やれば、パンと果物が置かれている。
抱かれ続けた躰は食事を欲している。
だからといって、憎い相手から与えられる食物を口にできるわけがない。
食事の摂取すらも拒み続ける。その結果、フィーユはとうとう高熱に冒されてしまった。
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