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第8話
そもそも、フィーユは以前から好戦的な態度の彼の乱暴なやり口が気に入らなかった。
同じ国を治める者として、グレファ王とは和睦協定を結んでいたが、どこか信じられない部分がたしかにあったのだ。『あの王だけは信じるな』それはフィーユの父、バスティーザ王が生前口を酸っぱくして言っていたことだった。
フィーユはなけなしの力を振り絞り、抵抗を計る。逃げようと試みても、グレファ王の肉付きの良い腕に敵う筈もない。
「……よしよし、良い子よのう」
目からは苦痛の涙が溢れる。
いやいやを繰り返し、泣きながら許してと乞うても王の悦に浸った笑い声で打ち消される。
フィーユはずるずると引き摺られ、寝台に押し倒された。
「いや……嫌だっ! 助けて。キュロス! キュロス!!」
フィーユは悲鳴を叫ぶ。自分を無理矢理抱いた将軍に助けを求める。
視界が涙で歪む。もうキュロスの顔さえも見えない。
「無駄だ。此奴は儂の忠実な僕。助けるわけがなかろう? さあ、良い子だ。怖いことは何もないからのう」
耳元で囁くグレファ王のねっとりとした吐息がフィーユを陥れる。太いその指が寝衣を捲し上げ、空気に晒された臀部の割れ目をなぞる。
「日に日に美しくなるフィーユ王子……ひと目見たあの時からどれほど抱きたかったことか……」
耳元に唇を押し当て、グレファ王は悦に浸ったその声で――興奮したその吐息を混ぜて話す。
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