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その2

兵士C「で、視線は誰を見ていると思う?」 兵士A「視線は……足下に跪いている――あれは隣国のジェリル王か」 ジェリル王「バスティーザ王、フィーユ殿。ローズさえも嫉妬してしまう程の美しさは健全でございますね」 兵士A「ジェリル王はたしか、近隣の国で最も色男と言われている王だったか――」 兵士C「それで、キュロス様の様子はどうなってる?」 兵士A「……どす黒いオーラが見える……」 兵士C「蜷局を巻いてないか?」 兵士B「あ、手の甲にキスした」 兵士A「長い髪が下敷きを使うまでもなく静電気なしで逆立ってるぞ!」 兵士C「まずいぞまずい。俺たちはこの後の訓練で素振り一億回をこなさねばならんぞ?」 兵士A「今までちっとも気にしてなかったが……まさか……」 兵士C「キュロス様のフィーユ王への溺愛っぷりを思い出せ!」 兵士A「溺愛、って……たしかに。フィーユ様のお側を片時も離れた姿は見たことがない気がする」 兵士C「フィーユ様の世話は召使いではなく、決まってキュロス様の持ち場だろう?」 兵士A「そう言われてみれば――だけどあれだろ? 過去にグレファ王がフィーユ様に奇襲をかけたことがあったから、それを防ぐために騎士として――」 兵士C「じゃあ、あのおぞましい地獄の番人ケルベロスのような姿をどう説明する? 禍々しい黒いオーラは人間が発するものじゃないだろうがっ」 兵士A「そう言われれば……フィーユ様とふたりきりになった後は晴れやかな表情のような……」

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