何か様子がおかしい。 少し余裕がなさそうにも見えた。 今ならもしかしたら、逃げられるかもしれない。 そう思い、自分に付いた鎖を見せながら言ってみた。 「これ外して。」 「嫌です。だって、外したら絶対に逃げますよね。」 なかなか手強い。でも、ここで引き下がるものか。 「逃げないから、お願い。」 「駄目です。」 これでも駄目か。 こうなったらもう、最終手段を使うしかない。 「外してくれないなら、さっきの言葉の続き言うからな！」 そう言うと、今までとは違う反応をした。 これが弱点だと悟った。 「俺は、お前のことなんて……。」 と途中まで言ったところで、俺は勝った。 「………分かりましたよ。外しますから、絶対に逃げないでくださいね。」