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いつも通りにヘラっと笑った俺は、じゃあねと言って生徒会室を出た。かいちょーが我に返ったらめんどくさそうだもん、俺は早々退出するよ。 「話は終わったのか?」 生徒会室を出てすぐのところに立っていたのは6つ上のお兄ちゃんである(るい)くん。本来なら学園の生徒会じゃない塁くんはここにいれないんだけど今日だけは特別。 「うん。終わらせてきたよ。行こっか、塁くん」 かいちょーと本当に別れたかったのかと言われればそれは違う。いつだってかいちょーは俺に優しくしてくれたし、いつだって俺のことを思ってくれた。かいちょーの隣は、生徒会という居場所はとてもあったかい場所だった。 「お世話になりました」 生徒会役員の特権で与えられた寮の1人部屋には、俺が気に入って買い集めた家具などは一切なくて、生活感の“せ”の字すら感じれない。家具は今頃塁くんが住んでいるマンションに送られているはずだ。 「帰るぞ、羊」 「うん、そだね」 俺は今日、この学園から出ていく。全寮制という鳥籠の外で、俺は新しい生活を始めるのだ。 「───」 バイバイ、九龍学園中等部。 その日、俺の親衛隊長が号泣していたが他の生徒がその理由を知るのは翌日のことになる。

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