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「ヨウくんいいわよーぅ!もっとこっちに流し目チョーダイっ!」 少しオカマ口調のカメラマンのシズちゃんに言われてカメラに視線をやる。パシャパシャと光る一眼のレンズを少し睨みつけるとシズちゃんは今日1番の笑顔になる。 「チョーいいわっ!ほんっと天才ねぇ!ヨウくんたら」 再来月発売される予定俺の写真集のひと通りの撮影が終わる。これからすぐに写真のデータを確認して使う写真と使わない写真を厳選していくのだろう。モデルとしてまだまだの俺が写真集だなんておこがましいが、同時に嬉しくも恥ずかしくもある。 「いつもありがとう、シズちゃん。シズちゃんのおかげで俺の今があるんだよ」 1年とちょっと前、モデルをしていた塁くんの撮影を見学していたときにカメラマンだったのがシズちゃん。シズちゃんがせっかくだから一緒に撮りましょうよと塁くんとのツーショットを撮ってくれたのだがその写真がとてもよく、俺の知らない間に雑誌に掲載されていた。 「今から写真集のオフショット撮っていくから自然にしていてね!」 その雑誌が出た瞬間から俺への反響がすごかったらしく、塁くんの事務所の社長さんから直々にスカウトがあり、瞬く間に俺も正式モデルデビュー。ミステリアスで売り出していた塁くんの兄弟ということもあり俺はすぐに引っ張りだこのモデルになった。 「ヨウ!このあとヒマ?」 明日のスケジュールを確認していた俺に声をかけてきたのは撮影が同じだったアキラさん。アキラさんは同じ事務所の先輩モデルで何かと俺の世話を焼いてくれる人だ。

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