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「えー、それじゃあ転校生の紹介するぞー。原田羊くんだー」 みんなポカーンとした顔をしている。そりゃそうだよね。学園を去る前は中町(なかまち)羊だったのに帰ってきたら原田になってるんだもん。俺が入ることになったクラスには中等部の頃に仲良くしていた子が何人かいて懐かしい気分になる。 「よろしくねー、原田くん!」 ………ってあれ?みんなまさか俺に気づいていない?さっきよろしくねって言ってくれた子、昔俺の親衛隊の隊長してた中西(なかにし)小町(こまち)くんだよ?あれだけ中町様中町様って生まれたての小鳥のように俺の後をつけて回ってた中西小町くんがなんで。 「あ、」 名字だけじゃなくて見た目も変わっちゃったらそりゃあ分からないよね。うわ、え、ちょっと期待していた自分が恥ずかしい。みんな俺のこと覚えてないのか、そっか。寂しくなんかないよ、うん。しかもこのクラスの反応、モデルのヨウってことにも気づいてないかも。よし、こうなったらバレたときの反応見てみたいからこのまま黙っとこう。 そうして俺はお昼休みまでみんなと初めて会いましたって態度をとった。 「羊くん、お昼ご飯は食堂で食べるの?」 俺に声をかけてきたのは小町ちゃん。羊って呼んでいいよって言ったら羊くんって呼んでくれた。昔はどれだけ言っても中町様だったのになー。なんかちょっとショック。 「そうしよっかなー。小町ちゃん、何かおすすめはある?」 「そうだねぇ、オムライスとか美味しいよ!」 「よし、じゃあそれ食べに行こう!」 ショックだけど、嬉しい部分もある。昔ならこうやってみんなと一緒にご飯を食べるなんてできなかったし。むしろ生徒会役員が食堂を使うとパニックになる恐れがあるからってルームサービスだったしね。

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