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11 小町side

『今日で俺の親衛隊は解散だよ、小町ちゃん』 あの時の言葉が今でも忘れられない。 僕は中西小町。中等部の頃、生徒会会計であった中町羊様の親衛隊隊長をしていた。めんどくさがり屋でちょっとだらしなくて、でもみんなに優しい中町様は中等部どころか高等部の先輩方からも人気があって、そんな僕が親衛隊の隊長を任されたときは嬉しかった。中等部に進学するまでの中町様といえば、1歳年上であるお兄様、(そう)様からの言いつけでボサっとした髪にレンズの分厚いメガネをかけていらっちゃっていて、そんな中町様に近づくのは生徒会の皆様しかいなかった。 『小町ちゃーん、俺カレシが出来たんだぁ』 中町様が中等部進学と同時に奏様が海外留学に行かれ、ボサっとした髪の毛は清潔に整えらた。ついでにメガネも外したらなんということでしょう、そこには天使がいたのです。そんな中町様からそう告げられたのが1年の終わりの頃。中町様のいないところですぐに親衛隊で会議が開かれ、中町様のお相手を探し出すことになった。 『あ、小町ちゃん。これ俺の彼氏!』 中々見つからず親衛隊が荒れていた時にまさかの中町様直々にご紹介された。ら、なんとお相手は生徒会長である。これには親衛隊どころか全校生徒が驚いた。生徒会長は今まで誰に告白されても付き合わないと有名だったので、実は婚約者がいるんじゃないか、とか、この学園では珍しいノーマルなのか、とか言われていたのだ。 『中町様、何かあったときは報連相だと言いませんでしたか?!』 『ごめんってー』 『まさか中町様のお相手が生徒会長様だとは思いもしませんでしたが、中町様を悲しませるようなことだけはしないでくださいね』 そんな中町様に解散を告げられたのは中等部2年生の夏のことだった。中町様自身がいなくなったと知ったのは夏休みが開けてからで、僕が散々言ってきた報連相は意味がなかったみたいだと呆れもした。

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