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12 小町side
高等部に進学し、中町様のいない日々を淡々と過ごしていく。そんな中、転校生が来た。この学園の生徒は転校生という言葉に酷く反応する。それは半年前に来た転校生が原因なんだけど。また彼みたいな子が来たらどうしよう。多分みんなそう思ってたと僕は思う。
まぁ、彼みたいな子が他にもいるとは思えないし、もし仮にこの学園に来てしまったら校内はもっとグッチャグチャのドッロドロだったろうね。でも、来た転校生は少なくとも彼みたいな子じゃなかった。
「原田羊です!よろしくね」
薄い茶色の髪のとてもとても綺麗な人だった。原田羊と名乗った彼はどことなく中町様に雰囲気が似ていて、僕は少し泣きそうになる。羊って呼んでよと言った彼は食堂に行きたいみたいだったから、クラスのみんなと一緒に羊くんを食堂に案内した。
けどタイミングが悪かったみたい。ちょうど生徒会の皆様がいらっしゃるときに来てしまったらしい。食堂の外だってのにバカデカい声が聞こえる。ご飯食べているときくらい静かに出来ないのかな。美形が大好きな彼が羊くんを見つけませんように、そう願いながら僕らは食堂へと足を踏み入れた。
「何この悲鳴」
「タイミング悪いときに来ちゃったね」
「どういうこと?」
イマイチ分かってない羊くんに、僕は半年前に来た転校生の話をした。生徒会の人に友達だとかなんとか言って自分の周りにはべらしたあげく、学園内で様々な問題を起こしているんだと。
「だから生徒会の皆様はその転校生に構いっぱなしで………」
その言葉を聞いた羊くんは何か怒ってるみたいだった。
「へー。そうなんだ。会長達何やってんの?バカなの?」
小声で何かブツブツ言ってるみたいだったけど、何を言ってるかまでは分からない。
「俺ちょっと言ってくるね」
「え?羊くん?!」
誰もが関わるのを嫌がるくらいなのに、自ら、しかも彼に会いに行くってどういうこと?!彼に気に入られたら最後。ずっと付きまとわれるんだよ?!羊くんはバカだ!
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